news

top > news

お知らせ

2012年2月15日水曜日

植物とマグネシウム(その3)

今回は酵素に対するマグネシウムの働きについてお話します。

植物は光合成により二酸化炭素から酸素を造り出しますが、酸素を吸って二酸化炭素を排出する、いわゆる「呼吸」も行っています。
また、酸素を必要とする生物には「クエン酸回路(TCA回路)」と呼ばれる好機的代謝のサイクル反応を行っています。

生物は糖質や脂肪酸を代謝することでエネルギーを得ていますが、その解糖反応やその後のクエン回路反応では多くの酵素の働きにより、様々な生成物が合成されています。

酵素というのは生物の体内で様々な生合成反応を進める上でなくてはならない触媒的存在であります。数千種類存在する酵素ですが、そのうちマグネシウムやカルシウム、マンガンなどの金属元素が存在しないと活性化しない酵素が数多く存在します。
中でもマグネシウムが活性化させる酵素は人体の場合、200~300種類あり最も多いと云われています。
代表的なもので、グルコースの解糖反応で使用される「ヘキソキナーゼ」と呼ばれる酵素がありますが、この酵素はマグネシウムがないと活性化しません。


植物が成長していく上で葉や根、作物の原料となる窒素やりん酸などが重要と思われがちですが、エネルギーを造り出し代謝サイクルを循環していくための酵素の働き、その酵素の活性化、すなわちマグネシウムなどの金属元素は必要不可欠な存在であると云えます。

2012年2月10日金曜日

植物とマグネシウム(その2)

前回、光合成の働きを助けるマグネシウムのお話をしましたが、
実際のところ葉に含まれるマグネシウムが葉緑素の成分として働く量は約10%です。
マグネシウムはその他にも植物に対して重要な役割を果たしています。

マグネシウムは土壌中に存在する「りん酸」の吸収を助ける働きがあるのです。

「りん酸」は三大栄養素のひとつで、植物中の核酸や酵素の構成成分であります。
植物に対して以下のような働きをもたらします。

1)作物の生長を助ける
2)発芽力の促進
3)根、茎、葉の数を増やす
4)作物の収量を増やす

しかし、りん酸は遅効性の栄養源でじっくり効いてくる肥料です。
さらに植物の吸収する量は施肥した量の約10%と云われています。

そこで、マグネシウムがりん酸を吸収させやすくする橋渡しの役割を果たします。

また、この他にも苦土が植物に吸収されると、根から発生する根酸(クエン酸)の量が増え、
りん酸の吸収を助けるといった報告例もあります。

このようにマグネシウムがりん酸の吸収を助けるわけですが、
苦土を多く施肥するとりん酸がより多く吸収されるということはなく、逆にカルシウムやカリウムの吸収を阻害し植物に対して悪影響を及ぼします。
何事もバランスが重要とということです。

次回は植物内酵素の活性化に及ぼすマグネシウムの働きについてお話します。