news

top > news

お知らせ

2012年5月2日水曜日

イチゴとトマトと硫酸マグ肥料

イチゴ(チップバーンの対策)
イチゴの障害のひとつで「チップバーン」と一般的に呼ばれている病気があります。学術名はカルシウム欠乏症で、葉緑の一部が褐色となり枯死し、葉が盛り上がりよじれる状態になります。症状は虫害のように見えますが、原因はカルシウムの欠乏、高温や乾燥、肥料の過剰施肥で起こるとされています。チップバーンの一般的な対策として、カルシウム剤の葉面散布が推奨されていますが、劇的な効果は望めないと云われています。
そこで、チップバーンを発生させにくい状態をつくるためにマグネシウム(苦土)が重要な役割を担います。マグネシウムが間接的にカルシウムの吸収を助けるのです。
マグネシウムがリン酸の吸収を助けることはよく知られています(2/10投稿「植物とマグネシウム(その2)」参照)。リン酸は植物の生長に重要な役割を果たし、特に根・茎・葉を元気にすると云われています。カルシウムというミネラルは元来植物に吸収されにくい形態をとっているため、根や葉に元気がない植物はさらにその吸収を遅らせてしまいます。要するに、マグネシウムを与えることで効率良く吸収されたリン酸の働きにより根や葉を元気にし、カルシウムの吸収を促進させているのです。

マグネシウムとリン酸とカルシウムのトライアングルがうまく働くことで、チップバーンを効果的に予防することが期待されます。マグネシウム剤としては中性で水溶性の硫酸マグネシウムが望ましく、葉面散布や灌水で与えます。
ただし、マグネシウムを過剰に施肥すると、逆にカルシウムの吸収を阻害するという報告例もあることから、様子を確認しながらマグネシウムを少しずつ施肥することを推奨します。

<写真:イチゴのチップバーン症状>


トマト(マグネシウム欠乏症の対策)
トマトの葉の葉脈間が黄色に変色してきた場合、マグネシウム欠乏症が疑われます。これは「クロロシス」と呼ばれる病気で、やがて枯死してしまいます。一般的に果実の肥大最盛期に下葉の部分から症状が現われ、中葉の位置まで拡大してくると果実の収量に大きな影響を与えると云われています。

マグネシウムは葉緑素を構成する元素であります(1/31投稿「植物とマグネシウム(その1)参照」)。そのマグネシウム分が欠乏することで、葉の緑色が薄れ黄色へと変色します。マグネシウム欠乏症になる主な原因は、窒素やカリの栄養過剰や酸性土壌によるマグネシウムの吸収阻害と云われています。
対策としまして硫酸マグネシウムの葉面散布や土壌中に少ない場合はマグネシウムを施肥します。pHが高い場合は硫酸マグネシウムが望ましいとされています。またカルシウムが過剰の場合はマグネシウムの吸収を阻害するため、土壌中のカルシウム量の確認を行うことを推奨します。

<写真:トマトのマグネシウム欠乏症>