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お知らせ

2012年5月24日木曜日

乳房炎の予防対策!シルキーディップの殺菌原理

シルキーディップは有効ヨウ素を低く抑えた無駄のない設計。遊離ヨウ素により高い殺菌力を発揮する新しいコンセプトのディッピング剤です。

(1)遊離ヨウ素とは
シルキーディップには界面活性剤が添加されています。界面活性剤の中にヨウ素が取り込まれた状態のものをヨウ素複合体といいます。このヨウ素複合体から二原子ヨウ素が離れて、水中に溶出してきたものを遊離ヨウ素といいます。
殺菌作用で遊離ヨウ素は消費されますが、ヨウ素複合体から次々に生まれてきます。

(2)遊離ヨウ素と有効ヨウ素との違い
シルキーディップを含むヨウ素製剤中には、いろいろな化学形態でヨウ素化合物が存在しています。その中でヨウ素(I)としての特性を示すヨウ素量を化学的に求め、有効ヨウ素量としています。
ヨウ素製剤中にはヨウ素化合物としてヨウ化物、ヨウ素酸塩、ヨウ素複合体、二原子ヨウ素(遊離ヨウ素)などの化学種が存在していますが、この中でヨウ素としての特性を示すヨウ素複合体中のヨウ素や遊離ヨウ素の総量が有効ヨウ素となります。
ただし直接殺菌に関与するのは、有効ヨウ素のうち遊離ヨウ素となったものです。

(3)遊離ヨウ素の殺菌作用
ヨウ素製剤の殺菌作用はヨウ素製剤中に発生した遊離ヨウ素が細菌表面の膜タンパクと反応し、細菌やウイルスを死滅させると考えられています。
下図のようにヨウ素製剤中の遊離ヨウ素が細菌等と反応し、破壊します。消費された遊離ヨウ素は連続的に補給されてきます。


(4)有効ヨウ素濃度が高いと殺菌作用は高いの
有効ヨウ素濃度が高いほど遊離ヨウ素が多く発生するという事ではありません。例えば、ヨウ素系殺菌消毒剤ポピドンヨード液(原液の有効ヨウ素濃度0.7%)では、有効ヨウ素濃度0.01%に希釈した液で遊離ヨウ素濃度が最大となる事が報告されています。有効ヨウ素濃度を高くすれば、より多くの遊離ヨウ素が発生し殺菌効果が増すということではありません。
シルキーディップは有効ヨウ素濃度0.15%ながら、高濃度ヨウ素製剤と同等の遊離ヨウ素濃度を持っていますので安心してお使いください。

2012年5月2日水曜日

イチゴとトマトと硫酸マグ肥料

イチゴ(チップバーンの対策)
イチゴの障害のひとつで「チップバーン」と一般的に呼ばれている病気があります。学術名はカルシウム欠乏症で、葉緑の一部が褐色となり枯死し、葉が盛り上がりよじれる状態になります。症状は虫害のように見えますが、原因はカルシウムの欠乏、高温や乾燥、肥料の過剰施肥で起こるとされています。チップバーンの一般的な対策として、カルシウム剤の葉面散布が推奨されていますが、劇的な効果は望めないと云われています。
そこで、チップバーンを発生させにくい状態をつくるためにマグネシウム(苦土)が重要な役割を担います。マグネシウムが間接的にカルシウムの吸収を助けるのです。
マグネシウムがリン酸の吸収を助けることはよく知られています(2/10投稿「植物とマグネシウム(その2)」参照)。リン酸は植物の生長に重要な役割を果たし、特に根・茎・葉を元気にすると云われています。カルシウムというミネラルは元来植物に吸収されにくい形態をとっているため、根や葉に元気がない植物はさらにその吸収を遅らせてしまいます。要するに、マグネシウムを与えることで効率良く吸収されたリン酸の働きにより根や葉を元気にし、カルシウムの吸収を促進させているのです。

マグネシウムとリン酸とカルシウムのトライアングルがうまく働くことで、チップバーンを効果的に予防することが期待されます。マグネシウム剤としては中性で水溶性の硫酸マグネシウムが望ましく、葉面散布や灌水で与えます。
ただし、マグネシウムを過剰に施肥すると、逆にカルシウムの吸収を阻害するという報告例もあることから、様子を確認しながらマグネシウムを少しずつ施肥することを推奨します。

<写真:イチゴのチップバーン症状>


トマト(マグネシウム欠乏症の対策)
トマトの葉の葉脈間が黄色に変色してきた場合、マグネシウム欠乏症が疑われます。これは「クロロシス」と呼ばれる病気で、やがて枯死してしまいます。一般的に果実の肥大最盛期に下葉の部分から症状が現われ、中葉の位置まで拡大してくると果実の収量に大きな影響を与えると云われています。

マグネシウムは葉緑素を構成する元素であります(1/31投稿「植物とマグネシウム(その1)参照」)。そのマグネシウム分が欠乏することで、葉の緑色が薄れ黄色へと変色します。マグネシウム欠乏症になる主な原因は、窒素やカリの栄養過剰や酸性土壌によるマグネシウムの吸収阻害と云われています。
対策としまして硫酸マグネシウムの葉面散布や土壌中に少ない場合はマグネシウムを施肥します。pHが高い場合は硫酸マグネシウムが望ましいとされています。またカルシウムが過剰の場合はマグネシウムの吸収を阻害するため、土壌中のカルシウム量の確認を行うことを推奨します。

<写真:トマトのマグネシウム欠乏症>